体幹に関わる筋を整理してみた|起始・停止・神経・作用まとめ

理学療法士の学び

臨床で“体幹の動きに関わる筋は”と思ったとき、すぐに確認できるように整理しました。

体幹は姿勢保持・動作の安定性・下肢との協調など、多くの役割を担う重要な部位です。

筋の働きやバランスが崩れると、腰痛や姿勢不良、スポーツ動作の乱れにつながることも少なくありません。

この記事では、体幹の動きに関与する筋を起始・停止・神経・作用ごとにまとめ、臨床での評価や治療に役立つ知識を整理しています。

体幹の筋(起始・停止・神経・作用)

筋の一覧 ※青色は補助筋

脊柱起立筋群

腸肋筋
起始腰腸肋筋-腸骨稜
胸腸肋筋-下部6肋骨
     の肋骨角の
     内側面
頸腸肋筋-上部・中部
     肋骨
停止腰腸肋筋-第5-12肋骨
     角
胸腸肋筋-上部6肋骨
     角
頸腸肋筋-中部頸椎の
     横突起
神経脊髄神経後枝
作用腰腸肋筋-下部脊椎の
     後屈・側屈
胸腸肋筋-胸部の
     後屈・側屈
頸腸肋筋-頸部の
     後屈・側屈
最長筋
起始胸最長筋-腸骨稜,
     第1腰椎-
     第4仙椎
     棘突起,
     第1-2腰椎
     乳様突起,
     第7-12胸椎
     横突起
頸最長筋-第1-6胸椎
     横突起
頭最長筋-第1-3胸椎,
     第3-7頸椎
     横突起
停止胸最長筋-腰椎肋骨突
     起・副突起,
     下部11肋骨
     角,
     第1-12胸椎
     横突起
頸最長筋-第2-7頸椎
     横突起
頭最長筋-乳様突起
神経脊髄神経後枝
作用胸最長筋-脊柱側屈・
     後屈
頸最長筋-頸部後屈・
     側屈
頭最長筋-頭部側屈・
     後屈
棘筋
起始胸棘筋-第2-1腰椎・
    第12-11胸椎
    棘突起
頸棘筋-第6-7頸椎・
    第1-2胸椎
    棘突起
停止胸棘筋-第9-2胸椎
    棘突起
頸棘筋-第4-2頸椎
    棘突起
神経脊髄神経後枝
作用胸棘筋-脊柱後屈
頸棘筋-頸部後屈

短背筋群

半棘筋
起始胸半棘筋-第12-6胸椎
     横突起
頸半棘筋-第6-1胸椎
     横突起
頭半棘筋-第6-1胸椎・
     第7-4頸椎
     横突起
停止胸半棘筋-第6-1胸椎・
     第7-6頸椎
     棘突起
頸半棘筋-第5-2頸椎
     棘突起
頭半棘筋-上・下項線
     間後頭骨部
神経脊髄神経後枝
作用胸半棘筋-脊柱後屈
頸半棘筋-頭部後屈
頭半棘筋-頭部後屈・
     回旋
多裂筋
起始仙骨,仙腸靱帯,
腰椎乳頭突起,
胸椎横突起,
頸椎関節突起
停止第5腰椎-第2頸椎
の隣接する(2-4椎体
をとびこえる)椎体の
横突起
神経脊髄神経後枝
作用脊柱後屈・回旋
回旋筋
起始頸回旋筋-頸椎下関節
     突起
胸回旋筋-胸椎横突起
腰回旋筋-腰椎横突起
停止頸回旋筋-隣接する椎
     骨の椎弓・
     棘突起根部
胸回旋筋-隣接する椎
     骨の棘突起
     根部
腰回旋筋-隣接する椎
     体の棘突起
     根部
神経脊髄神経後枝
作用頸回旋筋-頸部反対側
     回旋
胸回旋筋-胸椎部反対
     側回旋
腰回旋筋-腰椎部反対
     側回旋

腹直筋

起始恥骨,恥骨結合
停止第5-7肋軟骨,
剣状突起
神経肋間神経T7-12
作用体幹前屈,側屈

外腹斜筋

起始第5-12肋骨
停止腹直筋鞘と白線,
腸骨稜
神経肋間神経T5-12
作用体幹回旋,側屈

内腹斜筋

起始胸腰筋膜,腸骨稜,
鼠経靱帯
停止第10-12肋骨,
腹直筋鞘と白線
神経肋間神経T8-12
腸骨鼠経神経
腸骨下腹神経
作用体幹前屈,回旋

腰方形筋

起始腸骨稜,胸腰筋膜
停止第12肋骨,腰椎横突起
神経腰神経叢T12-L3
作用両側-第12肋骨
   引き下げ
片側-同側側屈

運動方向別に働く筋 ※青色は補助筋

体幹の屈曲に関与する筋

  • 腹直筋
  • 外腹斜筋
  • 内腹斜筋

体幹の伸展に関与する筋

  • 脊柱起立筋群
  • 短背筋群

体幹の側屈に関与する筋

  • 外腹斜筋
  • 内腹斜筋
  • 腰方形筋
  • 脊柱起立筋群
  • 腹直筋
  • 短背筋群

体幹の同側回旋に関与する筋

  • 内腹斜筋
  • 脊柱起立筋群

体幹の反対側回旋に関与する筋

  • 外腹斜筋
  • 短背筋群

臨床での活用

ここからは、実際の臨床で体幹筋の機能がどのように姿勢や症状へ影響するのか、私が担当したケースをもとに紹介します。

腹筋群の弱化による腰痛のケース

デスクワーク中心の方で、長時間の座位による腰痛を訴えていたケースがあります。

評価すると、

  • 立位では骨盤前傾が強く、腰椎前弯が増大
  • 座位では骨盤が後傾し、腰椎が丸まる

というように、姿勢が大きく変化していました。

腹直筋や内腹斜筋の筋力低下により、骨盤の位置を適切に保持できず、姿勢の切り替え時に負担が集中していたことが原因と考えられました。

腹筋群の促通と股関節伸展方向の可動域改善を組み合わせたところ、骨盤の位置が安定し、長時間の座位でも腰痛が軽減しました。

脊柱起立筋群の弱化による円背姿勢のケース

高齢の方で、歩行時に背中が丸くなる円背姿勢を呈していたケースもあります。

胸椎伸展方向の可動域制限と脊柱起立筋群の筋力低下により、立位保持の際に体幹を支えきれず、重心が前方へ移動していました。

脊柱起立筋群の軽負荷トレーニングと胸椎伸展方向のモビライゼーションを行うことで、立位姿勢が改善し、歩行時の前傾も軽減しました。

体幹は腹筋群・脊柱起立筋群・短背筋群・腰方形筋など多くの筋が協調して働くため、どこか一つの筋が弱化しても姿勢や動作に大きな影響が出ます。

局所だけでなく、骨盤や下肢との連動性を含めて評価することが重要だと感じた症例でした。

まとめ

筋の走行や作用を正しく把握することは、評価・治療・運動指導の精度を高めるうえで不可欠です。
脊柱の臨床的に重要な運動方向は、

  • 屈曲
  • 伸展
  • 側屈
  • 回旋

の4つです。

脊椎は頸椎・胸椎・腰椎で構造が異なり、椎間関節の向きによって運動の許容範囲も変わります。

  • 屈伸は主に腰椎が大きく動く
  • 回旋は胸椎が主に関与する
  • 腰椎の回旋は制限が強く、損傷リスクが高い

といった特徴があります。

また、胸腰椎部の筋は

  • 後面:脊柱起立筋群・短背筋群
  • 側面:腰方形筋・腸腰筋
  • 前面:腹直筋・外腹斜筋・内腹斜筋・腹横筋

に大きく分けられ、それぞれが姿勢保持や動作の安定性に関わっています。

本記事が、体幹の評価や治療方針を考える際の“機能解剖に立ち返るための確認ツール”として役立てば嬉しいです。

参考文献

中村隆一・齋藤宏・長崎浩 (2009) 『基礎運動学 第6版』 医歯薬出版株式会社
青木隆明監修・林典雄 (2010) 『運動療法のための機能解剖学的触診技術-下肢・体幹 第1版』株式会社メジカルビュー社

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