ADL評価で迷わない|FIMとBIの違いと見守りの判断

リハビリ評価

ADL評価って、現場でやってみると「この点数で合ってる?」と迷うことが多いですよね。

特にFIMとBarthel Index(BI)はどちらも広く使われていますが、評価の目的・前提・点数の意味が異なるため、混同すると誤ったスコアリングにつながります。

この記事では、厚生労働省資料や原著論文の定義に基づき、FIMとBIの特徴・判断基準・誤解されやすいポイントを整理します。

「評価の根拠を明確にし、迷わず点数をつけたい」という方に向けた実践的な内容です。

FIMとBarthel Indexの基本を押さえよう

FIMとは?

FIM(Functional Independence Measure)は、実際に行われているADL(Performance)を評価する指標です。

運動13項目+認知5項目の計18項目を 7段階(7〜1点) で評価し、合計点は 126〜18点。

特徴

  • “しているADL(Performance)”を評価する
    ※「能力」ではなく「実際の介助量」を測る指標
  • 認知項目も含むため、生活全体の自立度を把握しやすい
  • 変化に敏感で、回復期リハで特に有用
  • 診療報酬に関わるため、定義に沿った厳密な運用が求められる

Barthel Indexとは?

Barthel Index(BI)は、10項目・100点満点で構成されるシンプルなADL評価です。
原著では 「できるADL(Capacity)」 を評価する指標として開発されています。

特徴

  • “できるADL(Capacity)”を評価
  • 点数は0・5・10点(移乗・移動は15点)とシンプル
  • 短時間で評価でき、介護保険領域でも使いやすい
  • ただし軽度者の変化にはやや鈍感(天井効果)

※日本の介護保険領域では、実際の生活状況(Performance)として運用されることも多い。

細かい点数の付け方は別の記事でまとめています。

FIMとBarthel Indexの違いをわかりやすく比較

項目FIMBarthel Index
評価項目数18項目(運動13+認知5)10項目
点数方式7段階(7〜1点)3〜4段階(0・5・10点など)
評価対象しているADLできるADL
評価の細かさ細かいシンプル
得意な場面回復期リハ、変化の追跡介護保険、在宅、初期評価
所要時間やや長め短い

FIMは「介助量の違い」を細かく拾えるのに対し、BIは「大まかな自立度」を把握するのに向いています。

現場では 両方を併用するケースも多い です。

私の老健ではリハビリテーション実施計画書に合わせてBIを使うことが多いです。

判断に迷いやすいポイントと解説

「見守り」はFIMとBIで扱いが違う

ここは現場で最も誤解される部分。

FIM
見守り=5点(監視・最小介助)
※「人の関与」があれば介助扱い
※身体介助が25%未満の場合は 4点(最小介助) になる
→ 5点と4点は厳密に区別される

BI
見守り=自立(10点または15点)
※BIに「監視」という概念は存在しない
※ただし、安全確保のための見守りが“実質的な介助”と判断される場合は減点されることもある

「できるADL」と「しているADL」の違い

BI:できるADL(Capacity)
→本来どこまでできるかを評価
→ 日本ではPerformance的に使われることも多い

FIM:しているADL(Performance)
→実際にどれだけ介助が必要か
→能力よりも生活実態に近い

認知面の評価はFIMだけ

BIには認知項目がありません。

そのため、認知症や高次脳機能障害のある方では、BIだけだと自立度を過大評価しやすい という特徴があります。

FIMの認知項目(理解・表出・社会的交流・問題解決・記憶)は、生活の安全性を判断するうえで非常に重要です。

軽度者の変化はFIMのほうが捉えやすい

BIは天井効果があるため、軽度者の変化を測るには不向き。

一方FIMは7段階評価なので、軽度者の小さな変化もスコアに反映されやすい とされています。

Barthel Indexの評価基準を具体的に理解する

BIの10項目は以下の通りです(厚労省資料)。

  1. 食事
  2. 移乗
  3. 整容
  4. トイレ動作
  5. 入浴
  6. 歩行/車いす移動
  7. 階段昇降
  8. 更衣
  9. 排便管理
  10. 排尿管理

例:移乗の評価

  • 15点:完全自立
  • 10点:部分介助
  • 5点:座位保持は可能だが移乗は全介助
  • 0点:全介助

FIMの評価ポイントを押さえる

FIMは7段階評価ですが、特に迷いやすいのが 6点(修正自立)と5点(監視) の違いです。

6点(修正自立)

  • 手すり・自助具などの使用はOK
  • 人の介助は不要
  • 安全に、合理的な時間で実施できることが条件

5点(監視)

  • 人がそばで見守る必要がある
  • 声かけが必要な場合も含む
  • 触れていなくても、転倒リスクが高ければ5点以下

現場で迷わないための実践的ポイント|担当ケースから

「見守り」は自立? 介助?

身体機能的には動作を遂行する能力があり、直接手を貸す必要はないものの、手順や声かけがないと安全に行えないという方を担当した際、FIMとBIでの評価の付け方に迷ったことがあります。

このような方は、能力(Capacity)だけを見れば自立に近い状態です。

実際、BIの発想では「できるかどうか」が基準になるため、身体的な介助が不要であれば自立寄りの点数になりやすいケースでした。

一方でFIMは「しているADL(Performance)」を評価する指標です。

手を触れていなくても、安全に遂行するために声かけや手順の指示という“人の関与”が必要であれば、それは介助とみなされ、5点(監視)に該当します。

身体的には自立に近い方でも、認知的・注意面の課題によって安全管理のための声かけが必要な場合、FIMでは的確に介助量として反映される一方、BIでは点数上「できる」と判断されてしまい、実際の生活で必要な支援量が点数に表れにくいというギャップを実感しました。

この経験から、「身体的にできるか」と「安全に、一人で完結できるか」は別の軸であるということを強く意識するようになりました。

特に高次脳機能障害や軽度の認知機能低下がある方では、身体機能評価だけでは見えない介助の必要性があるため、FIMのように“実際の生活場面でどれだけの関与が必要か”を評価できる指標が重要になると感じています。

「環境調整後の能力」をどう扱う?

FIM:実際の生活環境でのパフォーマンスを評価する。手すり・スロープなどの環境調整があれば、それを含めた“しているADL”で判断する。

BI:能力(Capacity)を見るため、環境調整があっても「できるか」で判断する。

まとめ

FIMとBarthel Indexはどちらも信頼性の高いADL評価ですが、評価の目的や場面によって使い分けることが大切です。

  • FIM:介助量を細かく評価したい、変化を追いたい、認知面も見たい
  • BI:短時間で大まかな自立度を把握したい、介護保険領域で使いたい

特に、身体的な能力はあっても声かけや手順の指示が必要なケースのように、「できる」と「安全に一人でできる」が一致しないケースでは、どちらの指標を使うかで評価結果が大きく変わります。

評価の「意図」と「基準」を理解しておけば、自信を持って点数をつけられるようになります。

※本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。症状に不安がある場合は、必ず医療機関にご相談ください。

参考文献

・Mahoney FI, Barthel D. “Functional evaluation: The Barthel Index.” Maryland State Medical Journal 1965;14:56-61.
・Wade DT, Collin C. The Barthel ADL Index: a standard measure of physical disability? Int Disabil Stud. 1988;10(2):64-7.
・厚生労働省.介護予防マニュアル(Barthel Index評価基準を含む).

理学パパ

パパ歴(8年目)

保有資格
・理学療法士(14年目)
・登録理学療法士
・呼吸認定理学療法士
・3学会合同呼吸療法認定士
・福祉住環境コーディネーター2級
・ICLS

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